日本に持ち込む処方薬は、まず有効成分を確認してください。「処方薬は1か月分まで」という一般的な目安を当てはめるのは、その後です。 短期旅行でも事前の許可が必要な薬があり、日本への持ち込み自体が禁止される薬もあります。自国の医師が処方した薬であっても、日本の輸入規制に適合するとは限りません。
確認すべき制度は大きく二つあります。一つは厚生労働省が案内する一般的な医薬品の個人輸入手続き、もう一つは同省の麻薬取締部が所管する規制薬物の手続きです。薬の種類と持込量によっては、両方の確認・手続きが必要になります。
公的機関の案内を確認した日:2026年10月17日。
まず薬の一覧を作る
持参する製品ごとに、一般名(有効成分名)、含有量、剤形、医師から指示された1日の使用量、持ち込む総量を記録しましょう。風邪薬などの配合剤や、必要時にだけ服用する薬も含めます。同じ商品名でも、国によって成分や処方が異なることがあります。
| 記録する項目 | 確認する内容の例 |
|---|---|
| 有効成分 | 薬局のラベルに記載された一般名 |
| 含有量と剤形 | 1錠当たりのmg数、液剤の濃度、注射剤かどうか |
| 用法・用量 | 医師が指示した服用量と、日によって量が変わる場合の指示 |
| 持込量 | 実際に荷物に入れる錠数、容器数、医療機器の数 |
| 渡航日程 | 到着空港、入国日、出国日 |
成分が分からない場合は、薬剤師に確認してください。行政機関へ分類について問い合わせるときは、この一覧と包装・ラベルが分かる写真を添えると具体的に相談できます。「ADHDの薬を持ち込めますか」だけでは、成分を特定できず判断材料が足りません。
一般的な医薬品:持込量によって輸入確認が必要になる
厚生労働省の個人輸入案内では、一般的な処方薬は原則として1か月分以内、一般的な処方箋医薬品以外の医薬品は原則として2か月分以内であれば、輸入確認証なしで持ち込めると説明しています。ただし、これらの目安によって禁止薬物や規制薬物の制限が免除されるわけではありません。
目安を超える量を持ち込む場合は、入国前に輸入確認証の手続きを行います。現在は「輸入確認証(Yunyu Kakunin-sho)」という名称が使われていますが、古い旅行情報では「薬監証明(Yakkan Shoumei)」と記載されている場合があります。
「何か月分」に当たるかは、処方された実際の用法・用量で決まります。例えば、1日2錠の薬を84錠持っていく場合、42日分です。旅行期間が「3週間」だからといって、その84錠が3週間分になるわけではありません。これは数量の計算例であり、特定の薬の持ち込み可否を判定したものではありません。
容器を複数に分ければそれぞれ別枠として扱われる、という前提も避けてください。予備の薬が必要なら、その分も含めた総量を行政機関への照会や申請に記載しましょう。
規制薬物は別の判断が必要
麻薬取締部の渡航者向け案内では、麻薬、覚醒剤原料、向精神薬、持ち込み禁止物質などが区別されています。これらを一つの規則で判断しないでください。
成分確認の重要性を示す例が二つあります。
- Adderallなどのアンフェタミンを含む医薬品は、日本への持ち込みが禁止されています。
- リスデキサンフェタミン(Vyvanseなどの製品名で販売される成分)については、覚醒剤原料に関する規則に基づく事前の許可が必要です。
許可の必要な麻薬や覚醒剤原料について、麻薬取締部は渡航日の少なくとも14日前までの申請を求めています。到着空港を管轄する担当部署に問い合わせてください。日本から未使用の薬を持ち出す予定がある場合は、輸出の許可も別途確認します。
向精神薬には、成分と数量に応じた独自の規則があります。麻薬取締部の案内にある該当する一覧表を確認してください。他の旅行者の体験を参考にする場合でも、有効成分・剤形・持込量がすべて一致するとは限らないため、必ず現在の公式案内を確認しましょう。
持ち込みが禁止される薬を使用している場合は、渡航前に十分な余裕をもって処方医へ旅行計画を相談してください。旅行記事だけを根拠に、治療を中断したり、別の薬に変更したりしないでください。
必要な申請を正しく準備する
一般的な輸入確認については、厚生労働省のQ&Aで、処方箋や医師の説明書などの裏付け書類、旅程に関する要件を確認できます。厚生労働省が案内する公式申請ポータルを使用してください。
規制薬物の申請では、麻薬取締部の案内に掲載された様式と提出方法に従います。医師の証明書には、治療の理由や薬の詳細を記載した最近発行の署名入り証明書などが求められます。薬局のレシートだけで十分だと考えないでください。
申請ごとに、次のような記録を残すと整理しやすくなります。
| 項目 | 記録しておくこと |
|---|---|
| 必要な手続き | 輸入確認証、規制薬物の許可、または両方 |
| 提出した内容 | 有効成分、含有量、持込量、渡航日程 |
| 当局からの回答 | 許可、修正依頼、未回答の照会 |
| 持参する書類 | 交付された許可書・確認証と処方箋など |
| 帰国・出国時 | 残った薬の持ち出しに輸出許可が必要か |
申請の送信完了や自動受付メールは、許可書・確認証そのものではありません。 修正を求められたら早めに対応し、交付された書類の内容と実際に荷造りする薬の内容を照合してください。
入国審査・税関で確認しやすいように荷造りする
医薬品は製品名や成分が分かる元のラベル付き包装で持参し、処方箋の写しと交付された許可書・確認証をまとめておきましょう。厚生労働省は、輸入確認証が必要な旅行者に対し、それを税関へ提示するよう案内しています。渡航日程や数量が変更になっても、交付された書類を自分で書き換えず、発行部署に対応方法を確認してください。
長期滞在の場合は、持ち込んだ薬がなくなる前に次の処方を受けられるよう計画しましょう。日本でいつ受診する必要があるか、医師に見せる診療情報は何か、同じ薬が日本で入手できるかを確認します。今回の持込量に対する許可は、日本で継続治療を受けられることまで保証するものではありません。
旅行者の保険と居住者の公的医療保険の違いについては、日本の医療・保険ガイドを参照してください。薬の持ち込みでは、成分の特定 → 法的分類の確認 → 数量の計算 → 必要な許可の取得 → 承認された量の荷造り、という順番で進めることが大切です。
